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インフレーションとは?なぜインフレーションは起きるのか

 

 インフレーションとはある時期から継続してモノやサービスの価値がゆるやかに上昇していくことを指します。物の値段(=物価)が上がると、私達が普段購入している身近な商品を今までと同じ金額では買うことが出来なくなります。

 例えば、某大手バーガーショップが提供しているハンバーガーの価格は、創業当初(1971年)は1個80円でした。その後、景気変動にともない若干の価格の上下はするのですが、現在(2017年7月時点の公式ホームページより)は1個100円で提供されています。およそ50年で20円のアップ。もとの値段から2割超の値上げがなされていることになります。同じ品物を購入するのに、物の値段が上がるとより多くのお金を支払う必要があります。

 「物価が上がると、お金の価値は下がる」ということを覚えておきましょう。

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なぜインフレーションは起きるのか

 モノやサービスの価値が変動する原因として、需要と供給のバランスに変化が起きることが挙げられます。昨年の台風の影響で原材料のじゃがいもが不作になり、某お菓子メーカーのポテトチップスが2017年の春先に品薄状態になりました。当時は、一部のネットオークションサイトでポテトチップスの一袋の価格が通常の3倍から5倍くらいの価格で落札されていました。スーパーなどのお店に並んでいる商品の数(=供給量)よりも、その品物が欲しいという消費者の数(=需要量)が多い場合、一般的にモノの値段は上がります。需要>供給=物価上昇要因となります。

 昨年不作だった原材料のじゃがいもの仕入れも徐々に追いつき、ポテトチップスの生産ラインが本来の稼働体制を取り戻すとどうなるのでしょうか。スーパーの陳列棚にも商品がびっしり並んできます。生産されたポテトチップスの供給量がそれを買いたい消費者の需要量に追いついてきました。

 普段あるものがないと、妙に欲しくなる気持ちを感じたことはありませんか。逆に、いつでも手に入るものだと特別感がない気もしますよね。生産者サイドの某お菓子メーカーとしては品薄状態の解消を急ぐために生産量を増やす行動に出ています。それによりスーパーには商品が並び、在庫が増えてきました。賞味期限の問題や仕入れたものが売れないと困ることもあり、消費者に早く買ってもらうためにスーパーは値段を下げて販売します。需要<供給=物価下落要因となります。

 このように供給量よりも需要量が多くなるとモノの値段は上がり、需要量よりも供給量の方が多くるとモノの値段は下がることになります。今回の需要と供給が原因で物価が上昇することを、ディマンドプルインフレーションといいます。

 経済社会において、インフレーションが引き起こされる他の要因として、生産コスト増によって引き起こされるコストプッシュインフレーションや、通貨供給量の増加によるものなど様々なものがあります。通貨供給量の増加によるインフレーションとは、中央銀行によるお金の発行量が多すぎることが原因です。お金がジャブジャブに余っていればお金の価値が下がり、物の価値が上がります。

インフレーションが引き起こす影響とは

 物の値段が上がると聞くと、モノを購入したり、サービスを頼んだりするのに何かとお金がかかりそうな印象があります。ただ実際は、インフレーションといっても急激に加速するのではなく、本来は景気の向上とともにゆるやかに変動していくものです。

 インフレーションと聞くと悪いイメージがありますが、モノやサービスの値段がゆるやかに上昇していくと、私達の家計にとっても良いことがあります。物価があがれば、企業にとっては今までよりも売上が上がり、企業の業績も上がります。そして景気全体が良くなれば社員の給料やボーナスにも報酬として還元されます。

 ゆるやかな物価上昇は、景気を刺激し消費活動も活発になる側面もありますので、そこまで悲観的に捉えなくても良いです。ただ持続的なインフレーションには注意が必要です。モノやサービスの値段が長期に渡って上がり続けると、1回あたりに支払うお金の量は多くなります。以前に比べお金の価値は徐々に下がっている状況です。

 私達が銀行などで大切に保管しているお金についてはどうでしょうか。大手都市銀行では定期預金の金利が0.01%となっています。単純計算ですが、100万円を銀行に預けると翌年には利息が100円(税引前)ついて、預金残高が少し増えたことになります。

 ところが物価上昇を加味するとどうなるのか。日本銀行は対前年比の物価上昇率を2%として目標を掲げています。目標の達成度合いはさておき(目標達成はできていません)、物価が仮に継続して2%上昇し続けるとなると、銀行にお金を預け0.01%の利息を受け取っていても、インフレ率を勘案すると目減りしていることになります。

 対策としては、物価上昇とともに成長が見込める、土地・不動産への投資(一等地)、株式、ゴールドなどの運用を検討するのも1つの方法です。インフレーションといっても、良い側面、悪い側面はありますので、1つ1つ理解を深めながら考えていただけるきっかけになれればと思います。

[参考記事]
「量的金融緩和とはどんな金融政策なのか。その効果は」

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