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なぜ戦争になると金価格が上昇するのか

戦争という事態は、一国の経済、通貨、そして国際秩序そのものを破壊する力を持っています。投資家たちがその「破壊」から資産を守ろうとする時、行き着く先は常に金です。その理由は、以下の3つのポイントに集約されます。

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1. 通貨への「信用崩壊」に対する防衛策

戦争が始まると、当事国の通貨価値は暴落のリスクにさらされます。

  • 戦費調達とインフレ: 戦争には膨大な費用(戦費)がかかります。政府は戦費を賄うために紙幣を増刷したり、巨額の国債を発行したりしますが、これは通貨の過剰供給を招き、猛烈なインフレ(物価高騰)を引き起こします。

  • 実物資産としての価値: 紙幣は「国家の信用」に基づく紙切れに過ぎませんが、金は4,000年以上の歴史の中で、それ自体に価値がある「実物資産」として君臨してきました。国家が破綻しても、金が紙切れになることはありません。

【エビデンス】 1970年代のソ連のアフガニスタン侵攻時、金価格はわずか2年で4倍以上に跳ね上がりました。また、2022年のロシア・ウクライナ紛争、2025年の中東情勢の悪化時にも、主要通貨に対する信用の揺らぎから金価格は連日最高値を更新しています。

2. 金融システムの断絶と「匿名性・流動性」

戦争は、銀行決済システム(SWIFTなど)の遮断や、資産凍結といった「金融の武器化」を伴います。

  • 無国籍通貨: 金はどこの国にも属さない「無国籍通貨」です。特定の国の決済網に依存せず、世界中のどこへ持ち込んでもその場で現地通貨に換金できる「究極の流動性」を持っています。

  • 中央銀行の「金シフト」: 2024年から2026年にかけて、中国やインド、トルコなどの中央銀行が金準備を急激に増やしています。これは、ドル決済網への依存を減らし、地政学リスクから外貨準備を守るための「戦略的備蓄」であるというエビデンスがあります。

3. 「不確実性」が生む投資家の心理的逃避

市場が最も嫌うのは「不確実性(先行きの見えなさ)」です。

  • リスクプレミアムの乗せ: 戦争が長期化するのか、核兵器が使われるのか、エネルギー供給が止まるのか。これらの予測不能なリスクが増大すると、投資家は株式などの「リスク資産」を売り払い、安全な「シェルター」を探します。

  • 供給不安: 戦争によって主要な金産出国(ロシアなど)の供給が滞るという予測も、価格を押し上げる要因となります。需要が急増する一方で、供給が絞られるという構造的な需給逼迫(ひっぱく)が起こるのです。

2026年現在の特筆すべきエビデンス:ドルの弱体化

近年の金高騰において無視できないのが、「ドルの武器化」に対する反発です。 米国が制裁手段としてドル決済を禁じたことで、非西欧諸国を中心に「ドル以外の安全な逃避先」として金を選ぶ動きが加速しました。

JPモルガンなどの最新レポート(2026年)では、金価格の上昇要因の約70%が、地政学リスクに伴う「投資家と中央銀行による強力な買い」によって説明できるとしています。


結論:金は「平和への不信感」の鏡である

戦争時に金価格が上がるのは、人々が「平和や秩序への信頼」を失い、目に見える、手で触れることができる「永遠の価値」に回帰するためです。

  • 国家の崩壊に備える。

  • インフレから資産を守る。

  • 金融封鎖から逃れる。

これら3つの目的が合致した時、金の輝きは増し続けます。2026年の今、世界が分断を深める中で金価格が4,600ドルを超えている事実は、それだけ世界全体の「地政学的リスク」が深刻なレベルに達しているという、何よりのエビデンスなのです。

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