株取引の本来の意味は、投資家が企業の株を購入することで会社経営を支援し、企業はそれを資本に成長を続け、配当するといった形で支援者に還元するというものでした。
現代では、インターネットの環境が整備されたことにより、株取引がインターネットを介して容易に行えるようになりました。その結果、株取引は流動性が大きくなり、投資から投機へと姿を変え、ギャンブル性が高まってきているのが現状です。
ギャンブル性が高まった中で、資金力の乏しい個人が利益を出すためには、ただ何となく投資をするのではなく、しっかりと知識をつけることが必要になってきます。大口や機関投資家は買いポジションと売りポジションの両方をうまく切り替えることで株価の上昇時だけでなく、下落時にも利益をあげることができます。「株は買って売るもの」というイメージがありますが、「売ってから買い戻す」という方法があることをご存知でしょうか?
今回は株取引における買いポジションと売りポジションについて見ていきましょう。
買いポジション売りポジションって?
「買いポジション」とは「株を安い時に買っておいて業績の向上などによって株価が上昇した時に売却する」という方法のことを言います。買いポジションは現物取引と信用取引の両方で行うことができます。もちろん、デイトレードで買いポジションを立てる場合には出来高やチャートを駆使してその日に売却をしてしまいます。
「売りポジション」とは「株を高い時に売っておいて業績の悪化などによって株価が下落した時に買い戻す」という方法のことを言います。売りポジションは現物取引では行うことができず、信用取引のみとなります。売りポジションもデイトレードの場合はその日に買い戻します。
信用取引は、資金や株式を借りて元手以上の売買を行う取引です。一言で言い換えると「借りて取引を行う」ことです。信用取引を活用すると以下のメリットを享受することができます。
〇約3.3倍のレバレッジ効果
担保の約3.3倍の取引が可能です。〇「売り」から始められる
「売り」から取引できるので、株価下落局面でも利益を狙えます。楽天証券から引用
では、買いポジションと売りポジションには実際どのようなメリットとデメリットがあるのか見ていきましょう。
買いポジションのメリット・デメリット
企業は業績を向上させ、成長を続けていくというのが基本原則になります。企業の成長に伴い、企業の投資価値が向上すれば、株価が上昇するので、通常は買いポジションで取引を行うほうが利益を出す確率が高くなります。
それだけでなく、上昇分の利益のほかに買いポジションの場合は、企業が成長に伴って株主に対して還元する株主配当を受け取ることができます。以上が買いポジションのメリットになります。
買いポジションに大きなデメリットはありませんが、唯一のデメリットは、株価は上昇よりも下落時のスピードが速いという点があります。株は銀行預金のように元本が保証されていないことから、企業の業績が少しでも悪化した場合や成長が止まってしまった場合などには、上場廃止や倒産などの不安が生じるため、狼狽売りが発生します。
大手企業の株を買っていれば安心というわけではなく、航空機産業の最大手のJALですら、上場廃止により株価が0円になってしまった経緯があります。企業の将来性だけでなく、昨今ではテロや北朝鮮などの地政学的リスクの高まりに伴って株価の下落が生じるので、企業の将来性だけでなく、世界情勢なども考慮に入れて取引を行う必要があります。
売りポジションのメリット・デメリット
とにかく売りポジションの最大のメリットは、株価の下落時に利益をあげることができることです。ギャンブル性が高まった分、株取引を長期的なものと考えている人が少ないため、地政学的リスクや業績悪化などで投資家心理の悪化が生じた場合には狼狽売りが発生するので、これを利用した売りポジションで利益を出すわけです。売りポジションは中長期というよりは、一時的な下落を利用することが多いので短期間で大幅な利益を出すことがメリットになります。
売りポジションの最大のデメリットは株価に下がる限界はあっても上がる限界がないということです。「買いは家まで、売りは命まで」という格言があり、(信用取引で行っていない限り)買いポジションでは購入金額分の損失で済みます。
しかし、売りポジションは信用取引で行うため、資金の3倍で株取引が可能です。3倍の状態で売りポジションを持っていて、株価が上がり続けてしまった場合には計り知れない損失を抱えることになります。好材料によるストップ高は連続しやすく、売買成立時になってやっと追加保証金が成立するので、大幅な追加入金を強いられる可能性があります。
※追加証拠金は、元金に対して損失が生まれたため、追加で入金をする必要があるお金。
追加保証金(追証)が発生した場合は、弊社からの請求の有無に関わらず、追証発生日の翌々営業日の15:30までにご入金または建玉の決済による追証の解消が必要です。
楽天証券から引用
また、売りポジションの場合には、現物取引ではなく、信用取引になるため、証券会社に対する手数料の他に金利を払います。その他にも企業が株主に還元する配当分の金額を負担しなければならないというデメリットがあります。
まとめ
上記のように買いポジションと売りポジションの両方にメリットとデメリットが存在することがわかりました。
企業の業績がいいからといって株価が上がることが保証されているわけではなく、逆に企業の業績が悪いからといって株価が下落すると保証されているわけではありません。実際に「好材料の出尽くし」による大幅下落や「悪材料の出尽くし」による大幅上昇が生じたりします。
企業の将来性や世界情勢なども考慮に入れ、市場の動きに神経を張り巡らせることで、リスクを軽減し、安定した取引が行えるようにしましょう。
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