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デフレーションとは何か?デフレーションを脱却するための方策

 

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デフレーションとは?

 デフレーションとは供給に対して需要が少ないことで物価が下落することです。例えば牛丼屋さんは1杯300円程度で食べられ、デフレーションの世の中ではもてはやされる存在です。ハンバーガー1つ100円という商売もデフレーション下の商売です。デフレーションに陥っている経済では安い商品であれば何でも良いという人達が多くなります。

 消費者にとっては良いことのように思えますが、実際はどうなのでしょうか?安く物が買えるということは確かにメリットですが、生産者や企業側からしてみると、利益が少なくなることを意味します。そうなると当然、従業員の賃金や雇用に影響が出ます。その結果、賃下げや失業者が増えることにより、出費を控えるようになり、益々景気後退や物価下落を招くことになります。このように景気後退や物価下落を繰り返す悪循環のことを「デフレスパイラル」と言います。

 デフレーション下ではお金の価値が上昇しているので、お金は使うより、預金した方が得策と考えることもできます。また、年金受給者など固定収入を得ている人にとっては、金額は同じでも、お金の価値が上昇しているので、得をしていることになります。

 ですが、結局デフレーションが進行すると、生産量は減少し、失業者が増大して、不況を招くことになります。日本においては、1991年のバブル崩壊後から断続的に続く「平成不況」や2008年の「リーマンショック」時の景気後退など、大きな景気回復が実感できないままの時代が続いています。

 ちなみに、「インフレーション」とはこの逆の状態で、供給に対して需要が多いことで物価が上昇することです。その結果、お金の価値が下がり、多くの金額を出さないと物を買えなくなります。ハイパーインフレーションではラーメン一杯食べるのにリアカーでお金を運ぶなんていう状態という冗談みたいな状態になります。

デフレーション脱却の方策

 デフレーション脱却策として、日本銀行は金融政策を行います。

1.公開市場操作 
 デフレーション時には銀行が持っている国債を日本銀行が買い上げることにより、市中金融機関に通貨を供給します。これにより市中金融機関には融資可能な資金が増え、企業や個人に貸出する余裕が生まれます。金融機関から貸し出された資金が、企業や個人に流通すれば、それだけ市中の流通通貨が増えることになり、景気回復につながるというものです。
 
2.預金準備率操作
 市中銀行は日本銀行に強制的に一定金額を預け入れなければなりません。何故かというと、顧客からの急な預金引き出しに対応するためです。銀行は基本的に個人や企業から預かったお金を「運用」といって、他の個人や企業に貸し出しし、その金利で利益を得ています。例えば急に大量の預金引き出しがあった場合など、銀行に対応できるだけの預金残高がないと引き出しができません。そのための準備金なのです。

 この日本銀行に預金させられる金額の割合のことを「預金準備率」と言います。この割合を調節することで、景気調整をします。デフレーション時には預金準備率を下げることにより、市中金融機関の手持ちの資金を増やします。前述の「公開市場操作」同様、融資額を増加させることにより、景気回復を狙うものです。
 
3.金利政策
 日本銀行が市中銀行に資金を貸し出す時の、金利の割合を調節するものです。金利が下がれば、市中銀行は日本銀行に対して、利子の負担が少なくなり、借り入れがし易くなります。これが市中銀行の資金調達に有利に働き、銀行の融資可能金額が増えることは前述の通りです。

 金利に関しては以前は「公定歩合」と呼ばれていましたが、現在は「基準割引率および基準貸付利率」と呼ばれています。しかし、金利の自由化によりその効果は低下したといわれています。その理由は、もちろん市中銀行同士でもお金の貸し借りはできるので、金利の自由化以降はこちらの方が多くなっているとういうのが現状です。

 現在では上記のような公開市場操作にも限界がありますし、金利中心の政策だけでは効果が期待できないので、直接、通貨量を増やす政策が取られています。その方法は、日本銀行が市中銀行が所有する日本国債を購入することで、日本銀行内にある市中銀行の当座預金にお金を振り込み残高を増加させます。日本銀行が市中銀行に期待することは、この増えたお金を企業や個人にどんどん融資をして、お金の供給量を増やしてほしいということです。そうすれば緩やかなインフレになり、景気が上がりやすくなるからです。このことを「量的金融緩和政策」といいます。

デフレーション脱却の方策の効果はどうか?

 経済成長率を知ることによってある程度の現状把握ができます。2016年度の日本の実質経済成長率は1.2%となり、2017年度は1.3%と予測されています。内容の分析結果として、消費は落ち込んだものの、輸出や設備投資が伸びた結果ということです。

 景気的には回復基調ということですが、消費が伸びないと実感が沸かないものです。一時的な物価上昇で消費が落ち込んだとみられていますが、今後は回復と予測されています。また、全国的な有効求人倍率は1.43倍となり、雇用環境は整っているといえます。

今後の展望

 消費の伸び率が鈍いのは、民間市場ベースまで十分なお金が流通量していないからです。市中銀行や企業の内部留保に留まり、従業員の賃金上昇という形で十分反映されていない傾向にあります。製造業でいうと全事業所の98%以上が中小企業です。一部の大企業では賃金上昇などがみられますが、大分部分を占める中小企業ではまだまだこれからといったところです。

 物価を上げて利益拡大を目指すのも方法の一つですが、賃金上昇が伴わなければ「スタグフレーション」という景気が低迷しているのにかかわらず、物価上昇する状態に陥ります。

 また、冒頭で「デフレーションとは供給に対して需要が少ないこと」と書きましたが、景気が良くない理由は需要が少ないからです。ですので、もっと政府が公共事業を増やすなり、政府支出を増やせば需要が増え、デフレ脱却のきっかけになります。

 一方で日銀がやっていることは「お金の量を増やすだけ」ですので、それが最終的に需要に繋がるかは未知数です。今のところ、日銀が目標にしている数値(インフレ目標)には届かず、量的緩和の効果は限定的です。

[参考記事]
「インフレーションとは?なぜインフレーションは起きるのか」

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