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住宅ローンの固定金利と変動金利のメリットとデメリット

 

 これから戸建てやマンションを購入する人のほとんどは住宅ローンを組むかと思います。そしておそらく人生で最も高額な借り入れになるという人は多いはずです。

 それほど重大なこととなると、しっかりと住宅ローンを理解して、自分に合う銀行・返済方法・金利方式を選ぶ必要があります。

 そこで今回の記事では金利方式によるメリットとデメリットについて説明していくことにしましょう。

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固定金利と変動金利の特徴

 金利方式は大別すると「固定金利」と「変動金利」に分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

 固定金利は、名前の通り金利が固定されるもので、契約した期間は同じ金利で利息の計算がされます。

 金利が固定だと、月々の利息や返済元本があらかじめ計算することができ、返済シミュレーションが正確になります。これによりファイナンシャルプラン(一生の収入・支出・資産を計画したもの)を作りやすくなるというメリットがあります。

 一方、変動金利は原則として年に2回金利が更新されるもので、将来の利息額を正確に計算することができません。将来のローン返済の支出を確定できず、ファイナンシャルプランが信頼できないものになってしまいます。

 また、一般的に固定金利は変動金利よりも高く設定されます。では利息の面で変動金利にメリットがあるか、というと一概にはそう言えません。ローンを契約した時の金利が低くても、しばらくして金利が大きく上昇してしまえば、固定金利方式よりも利息額が大きくなることは十分に考えられるからです。

 変動金利のメリットを適切に表現するならば、「『当面の』利息が安く済む」ことだと言えるでしょう。変動金利のメリットが限定的だとしても、この「当面の」金利の低さに価値を感じる人は多くいます。

 利息の計算は、「借入残高×金利÷12ヶ月」で計算されますから、例えば元本4800万円のローンを1%の金利で組んだ場合、初月の利息は4800万円×0.01÷12=4万円になります。しかし同じ1%の金利でも、元本の半分を返済する頃の利息は2400万円×0.01÷12=2万円に減っています。つまり、借入残高が多い初期に金利が低いほうが返済総額は少なくて済むのです。

 現在の金利は最低水準だと言われていますから、この時期だけでもなるべく低い金利を適用させるために変動金利方式を選択する人がいるのです。

元利均等返済×変動金利の特別ルール

 住宅ローンの返済方法には「元金均等返済」と「元利均等返済」がありますが、「元利均等返済×変動金利」の組み合わせで住宅ローンを組んだ場合は特別ルールが適用されることを理解しておきましょう。

 元利均等返済は、毎月の支払額が固定されていて、「その支払額から利息を引いた金額が元本の返済になる」という返済方法です。そのため、金利が増加しても毎月の支払額は変化しない代わりに、差し引かれる利息額が増え、元本返済額が少なくなることになります。

 もし金利が急激に増加した場合、月の支払額のほとんどが利息として差し引かれるかもしれません。最悪の場合、月の支払額よりも利息が大きくなり、「未払利息」として債務が蓄積されてしまうとも考えられます。

 このような状況が続いたまま返済期間が満期を迎えると、返済できていない元本全額と未払利息を一括して支払うことになってしまいます。そのような問題が起きないように「5年ルール」「1.25倍ルール」という特別ルールが設けられています。

 「5年ルール」とは、元利均等返済で定められている月々の支払額を5年おきに見直すというルールです。利息を差し引いても元本返済額が十分に残り、期間内に元本をしっかりと返済していけるような支払額に設定し直すのです。

 そして、5年ルールで支払額を見直す際に、元の支払額の1.25倍より大きな金額に変更することはできないというのが「1.25倍ルール」です。突然「来月から支払額が2倍になります」と言われれば、家計が急激に苦しくなりますから、1.25倍という上限を設けてくれているのです。

 さて、この2つのルールを聞いてメリットだと感じましたか?デメリットだと感じましたか?

 当面の支払余力が足りない人にとって1.25倍ルールはメリットに映るかもしれません。しかし、逆に1.25倍が上限であることで十分な元本返済ができない可能性もあります。そうすると、返済期間の満期到来時に一括で返済する金額が大きくなってしまい、デメリットだともいえます。

 金利が急激に上がってしまった場合は、返済期間の満期日までに計画的にお金を貯めておくか、ある程度貯まった時点で繰り上げ返済を行うべきでしょう。

専門家はどちらが得かをハッキリ答えない

 変動金利の利息メリットを得たいけれど、将来の金利が上がるリスクが不安という人は多いでしょう。今後の金利動向について専門家の意見を聞きたくなる人も多いと思います。

 しかし、ファイナンシャルプランナーなどのローンの相談に乗ってくれる専門家は、ハッキリとした答えをくれないでしょう。

 将来の金利の動きを断定的に話してはいけないというのは、ファイナンシャルプランナーや金融機関関係者にとって常識です。もし金利の動きを断定的に話す専門家がいたら要注意です。

 今後の金利の動きを専門家から聞き出すのは難しいと思いますが、金利方式を選ぶ際の判断基準は教えてもらうことができるでしょう。

 一般的に言われている判断基準は以下の通りです。

●資金的な余裕のある人は、金利上昇のリスクを負うことができる(利息が高くなっても支払える)ので、変動金利を選んでもよい。

●資金的な余裕がない人は、支払いが困難になるリスクを避け、固定金利を選ぶべき。

 基本的には固定金利を選び、リスクを許容するだけの資金・収入がある人のみが変動金利を選ぶ資格がある、といった説明になります。

 そうはいっても、資金的な余裕がないからこそ変動金利を選びたい、という人も多いのではないでしょうか。(たとえ1%の違いでも5000万円のローンなら初期の利息に約4万円/月の差があるので、大きいですよね)

 このような判断に対してファイナンシャルプランナーは、「お勧めはしないが選択は自由です」という立場をとることでしょう。

 つまり、変動金利を選ぶのであれば自己責任だということです。

なぜ金利は変動するのか

 金利が上がるか下がるかを自分で少しでも予想してみたい場合、金利に影響を及ぼす要因を知っておく必要があります。この分野は非常に幅広く深い知識を求められるため、ここでは基礎的な知識をご紹介することにします。

 金利が低いときは日本経済の状況は次のようになっています。

●景気が悪い

●物価が安い

●株価が低い

●為替レートが円高

●日銀が金融緩和政策を行っている

 上記はここ十数年の日本の状況ですね。経済が停滞しているとき、金利を下げることで個人や法人がお金を借りやすくし、経済活動(企業活動や消費活動)を活性化しようとしているわけです。

 金利が高いときはこの逆になります。

●景気が良い

● 物価が高い

●株価が高い

●為替レートが円安

●日銀が金融引き締め政策を行っている

 ニュースでは株価や為替の動きを取り上げて景気の動向を説明したりしますが、どちらも日々上がったり下がったりするものですし、当面の景気について話しているにすぎません。

 住宅ローンは15年~35年くらいの長期借り入れですから、もっと大局的に世の中の動きを捉えなければならないでしょう。

 今後の日本経済の動きがどうなるのかは、人それぞれ予想が異なることになりますから、自分の責任・判断を行ってください。

まとめ

 住宅ローンの金利方式には固定金利と変動金利があり、その特徴をご説明しました。

●固定金利は、ファイナンシャルプラン(一生の収支計画)を描きやすいというメリットがある

●変動金利は、当面の金利が固定金利よりも低く、利息の負担を抑えられる可能性が高いというメリットがある

●元利均等返済×変動金利の組み合わせでローンを組む場合、5年ルールと1.25倍ルールが適用されるため、計画的な繰り上げ返済等を検討する必要がある。

 今回説明した固定金利は「全期間固定金利型」と呼ばれるものでしたが、最初の数年間だけ固定金利でその後はまた固定/変動を選択するという「固定金利期間選択型」というものもあります。

 固定金利と変動金利の選択については、ファイナンシャルプランナーなどの専門家の意見を取り入れつつ、自分の責任と判断で選ぶようにしましょう。

[参考記事]
「マイナス金利とは何か?〜誰にでもわかるマイナス金利の意味」

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