郵便局の生命保険は「かんぽ」の名前で親しまれ、会社の知名度は抜群です。しかし、長い間国営企業であったためか、共済等と混同して、保険料が安い保険を扱っていると誤解していたり、民間の生命保険会社よりも商品性が優れていると思い込んでいたり、というように保険商品については良く知らない人も少なくありません。
このサイトでは、かんぽ生命を丸ごと理解できるよう、わかりやすくご紹介したいと思います。
かんぽ生命とは
「かんぽ」のことを「郵便局の保険」と呼ぶ人も多いですが、正式には、「株式会社かんぽ生命保険」が扱う生命保険ということになりいます。
かんぽ生命は、郵政民営化を受けて2006年に設立され、2007年に商号変更し現在の「株式会社かんぽ生命保険」となっています。
以前は国営企業だったことや、1916年設立以来の長い簡易保険の資産をそのまま引き継いでいることもあり、実はかんぽ生命は資産総額では世界一の会社でもあります。
かんぽ生命のメリット・デメリット
かんぽ生命を他社生保と比較した場合の、メリット・デメリットを挙げてみます。
メリット
1. 郵便局は全国どこにでもあるので、手続きがしやすい
2. 世界一の資産規模や以前は国営だったという安心感
デメリット
1. 保険料が安くない
2. 窓口担当者の保険提案能力は高くない
3. 加入限度額が累計で2000万円しかない
かんぽ生命の主力商品
以下の保険商品が、かんぽ生命の主力商品となっています。
新ながいきくん(終身保険)
新フリープラン(養老保険)
はじめのかんぽ(学資保険)
新普通定期保険(定期保険)
この中でもとくに知名度が高い「新ながいきくん」についてくわしくご紹介します。
新ながいきくん
新ながいきくんは、保険種類で言えば終身保険に分類され、以下の3つのタイプがあります。
定額型:
終身保険単品で、死亡保障は主契約の終身保障のみで特約が付いていないタイプです。たとえば30歳時に1000万円の新ながいきくん定額型に加入すれば、一生涯1000万円の保障が続き、保障額が変わることはありません。
ばらんす型:
主契約の終身保険に定期保険特約が付いたタイプです。終身保険の保険金額と定期保険特約の保険金額の割合によって、ばらんす型2倍・ばらんす型5倍の2つのタイプがあります。
たとえば30歳時に60歳払済1000万円の新ながいきくんばらんす型2倍に加入したとすると、一生涯の保障は500万円、30歳から60歳までは終身保障の2倍の1000万円の保障となります。
同様のケースでばらんす型5倍は、一生涯の保障が200万円、30歳から60歳までの保障が5倍の1000万円となります。
おたのしみ型:
一生涯の保障のみで、死亡保障について特約が付いていないという意味では「定額型」と同じですが、おたのしみ型は保険料の払込完了後に4回にわけて生存給付金を受け取ることができるタイプです。
たとえば30歳時に60歳払い済み1000万円の新ながいきくんおたのしみ型に加入したとすると、60歳時・65歳時・70歳時・75歳時にそれぞれ200万円ずつ生存給付金がもらえます。ただし、支払われた生存給付金の分だけ、死亡保障は減っていきます。
新ながいきくんとソニー生命の終身保険との比較
どの保険会社でも扱っている単品の終身保険(新ながいきくんで言えば「定額型」)で、保険料を比較してみましょう。
35歳加入、男性、60歳払済、終身保険1000万円、という条件で、かんぽ生命とソニー生命の月払保険料を比較すると、
かんぽ 新ながいきくん 34,000円
ソニー生命 終身保険 28,910円
というように、5,000円以上の差で新ながいきくんが高いです。
ソニー生命の場合は無配当保険ということで、保険料が割安というアドバンテージはありますが、生命保険の配当は確定した金額をもらえるわけではなく、とくに昨今のように金利が低い時代には配当ゼロも珍しくないことを考えれば、新ながいきくんは有配当保険であるとはいえ、月々5,000円というのはかなりの差だと言えます。
まとめ
かんぽ生命は、前身が国営企業だったこともあり、加入に際して安心感があるのは確かです。しかし、保険の内容を細かく見ていくと、他社生保の保険商品と比べて決して優れているとは言い難いところもあります。
とくに保険料の水準は安いとは言えませんし、加入できる保険金の制限が2000万円というのも、かんぽ生命の保険を自分の保険のメインと位置付けるには少し非力だといえます。
かんぽ生命の保険に加入を検討する場合は、安心で親しみやすいイメージだけで判断せずに、保険商品そのものを厳しくチェックすることが必要です。
[参考記事]
「貯蓄型生命保険の4つの種類と加入する目的」
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