近年、資産防衛や投資の対象として「金(ゴールド)」への注目が世界的に高まっています。ニュースで「金が最高値を更新」という言葉を耳にする機会も増えましたが、私たちが実際に手にする「1gあたりの円建て価格」がどのように導き出されているのか、その仕組みを正確に理解している人は意外と多くありません。
今回は、金の価格を決める基本的な計算式と、その数字を動かす要素について詳しく解説します。
1. 金1gあたりの価格を出す「基本の方程式」
日本の店頭で表示されている「金1gあたりの税込価格」は、主に以下の計算式で求められます。
国内金価格(円/g)=(ドル建て金相場 ÷ 31.1035 × 為替レート)× 1.1(消費税)
それぞれの要素を詳しく見ていきましょう。
2. 方程式を構成する4つの要素
① ドル建て金相場(世界共通の価値)
金は世界中で取引されるコモディティであり、その基準価格はニューヨークやロンドンなどの市場で「1トロイオンスあたり何ドルか」という形式で決まります。これが「ドル建て金相場」です。地政学リスクの高まりやインフレ懸念など、世界情勢の影響を真っ先に受ける数字です。
② 31.1035g(重さの単位変換)
世界市場で使われる「1トロイオンス」という単位は、正確には「31.1034768グラム」です。一般的には小数点第4位までを使い、31.1035という数字で割ることで、1オンスあたりの価格を1グラムあたりの価格に変換します。
③ ドル円為替レート(日本円への換算)
金は米ドルで取引されるため、日本で買う場合には「その時の為替」が大きく影響します。ドル建ての金価格が全く動いていなくても、円安が進むだけで、日本国内の金価格は上昇します。逆に、円高になれば国内価格は下がります。
④ 消費税 10%(国内独自のルール)
日本国内で金を購入・売却する際には、消費税がかかります。店頭での小売価格は通常、この10%が上乗せされた状態で表示されています。売却する際も、この消費税分を含んだ金額を受け取ることになります。
3. 具体的な計算シミュレーション
例えば、以下の条件で1gあたりの価格を計算してみましょう。
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ドル建て金相場: 2,500ドル
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為替レート: 1ドル=150円
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1オンスを円に換算: 2,500ドル × 150円 = 375,000円
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1gあたり(税抜)を算出: 375,000円 ÷ 31.1035 ≒ 12,056円
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消費税を加算: 12,056円 × 1.1 ≒ 13,261円
このように、世界市場の動き(ドル建て価格)と日本の状況(為替)の両方を掛け合わせることで、私たちの身近な「1gの価格」が決まります。
この式を知っておくことで、メディアが報じる「ドル建て最高値」というニュースが、自分たちの生活や資産にどれほどのインパクトを与えるのかを客観的に判断できるようになります。
結びに代えて
金の価格は、私たちが生きる世界の「信用」を映し出す鏡のようなものです。紙幣の価値が揺らぐ時、この計算式によって導き出される数字は大きくなります。
「金1gの価格」という小さな数字の裏側には、広大な世界市場と複雑な経済の動きが隠れています。日々の相場を眺める際、一度この方程式を自分で計算してみてはいかがでしょうか。数字の裏にある「世界の今」が見えてくるはずです。

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