生命保険のうち、定期保険には更新型と全期型があります。全期型の定期保険はとくに注意すべきところはありませんが、更新型は注意が必要です。加入したときには、多くの方が気づかない更新型の注意点について、くわしくご紹介します。
全期型と更新型
定期保険は、一生涯の保障がある終身保険と違い、保険期間の終わりが決まっている保険です。
例えば、30歳時に60歳満期の定期保険に加入すれば、60歳で保険契約が終了し、それ以降の保障はありませんし、契約が延長されることもありません。このタイプの保険を全期型と言います。
一方の更新型ですが、たとえば30歳時に10年満了の定期保険に加入したとします。10年経過し40歳になると、全期型の場合はそこで保険契約が終了するのですが、更新型の場合は、特別何も手続きをしなければ、そのままさらに10年の保険が始まります。そして、50歳時にまた自動更新、60歳時にも自動更新というように、通常80歳まで更新されます。10年ではなく15年や20年のタイプもありますが、自動的に更新される点では同じです。
更新型は保険料が上がる
自動的に更新されても、万が一のときに支払われる保険金の額は更新前の契約と同じですから、問題ではありません。
しかし問題なのは、支払う保険料の金額が上がることです。あくまで目安ですが、30歳で保険に加入した時の保険料が1,500円だとすると、40歳時には約2,800円、50歳時に更新すると約6,100円、60歳時に更新すると約13,500円というように、更新毎に上がる金額の幅が大きくなっていきます。これは、更新時に更新時年齢によって、保険料が再計算されるためです。
30歳の時に1,500円なら安いと思って入った保険なのに、あれよあれよという間に保険料が上がっていって、50歳を目前にして気が付いたら保障は変わらないのに保険料は6,000円を超えていた、もう少ししたら1万円も超えてしまうということになるわけです。
更新時期が近づくと、保険会社から「まもなく更新時期が来ます」という連絡がきますが、多くの人はそこではじめて自分が加入している保険は更新型であることに気づき、しかも初めて保険料が上がることに気づきます。
「そんな話は聞いていない」と憤る人も実際多いのですが、保険会社にその旨指摘をしても、「加入時の書類に書いてあります。」と言われて終わりです。確かに書いてはあるのですが、ほとんどの人が気づきません。
更新型が多く販売される理由
このように実際トラブルも多い更新型の保険ですが、実は現在販売されているかなり多くの保険が更新型です。なぜ更新型が多く販売されるのでしょうか?
これには、保険会社側の都合が大きく反映しています。もしあなたが今30歳で、仮に万が一の事のあった場合におりるお金(保険金額)が2000万円の保険を提案されているとして、Aプランは月払保険料4,200円、Bプランは月払保険料2,400円なら、どちらを選びますか?この条件だけなら、誰もが保険料が安いBプランを選ぶはずです。
しかし保険の条件でもうひとつ大切なことがあります。それは、保険期間です。Aプランは60歳満了、すなわち保険期間は30年間、Bプランは10年間で、Aプランのほうが保険期間が長いのです。
もうお気づきだと思いますが、保険期間が長くなればなるほど、保険料は高くなります。保険会社側からすれば、できるだけ顧客に「高い」と思わせたくないわけです。そうなると営業担当者としては、Bプランを提案したくなります。
これが、更新型の保険が多く販売されている理由です。
更新型は悪か
では、更新型の保険は悪い保険なのかといえば、そうとは言い切れません。何といっても安い保険料で大きな保障を買えるというメリットがあるからです。
特に若年層で、収入があまりないときに死亡保障が必要な場合は、更新型の保険は向いています。その後収入の伸びを見ながら、見直すことも可能です。
更新型の保険のメリットとデメリットをきちんと把握しさえすれば、更新型の保険も十分活用可能な保険だということです。
まとめ
更新型の保険で失敗しないためには、まず加入する際に、更新型かどうかの確認を必ずすることです。そして安い保険料で大きな保障を確保する必要があるのかどうかを考え、その更新型の保険に加入する必要があるかどうかの判断をしましょう。
更新型にすでに加入している方なら、自分に必要な保障額と保障の期間に見合うように、保険の見直しを行いましょう。
[参考記事]
「生命保険の加入時に必要な健康診断について」
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