一般的に、日本人の多くはいわゆる「掛け捨て型」の生命保険が好きではありません。それは「何もなければ損をする」感覚が強いからです。ところが、掛け捨て型の保険も使い方によっては貯蓄型の保険よりも優れているところがあります。掛け捨て型保険のメリットを知って、賢く活用しましょう。
掛け捨て型生命保険とは
掛け捨て型生命保険と一般的に呼ばれている保険は、貯蓄性がない、すなわち満期保険金や解約返戻金がない保険のことを指します。
保険期間が満了しても、支払った保険料は支払いっぱなしで一円も戻ってこないことから「掛け捨て」と呼ばれています。
掛け捨て型生命保険の種類
掛け捨て型生命保険には以下の種類があります。
・定期保険
「期間」が「定まった」保険なので、この名があります。定期保険に加入すると、保険期間が満了するまで保障額は変わらず、満了すると保険契約が終了し、保障もなくなります。
更新型と全期型があり、更新型は10年や15年ごとに契約が自動で更新され、保険期間が満了しても更新される限り保障は続きますが、更新毎に保険料はあがります。全期型は、保険期間が満了した時点で保険契約も終了し、更新もされません。
更新型も全期型も、満期保険金や解約返戻金はありません。
・収入保障保険(家族収入保険)
定期保険の全期型と同じ種類の保険ですが、万が一があった場合、定期保険の場合は保険金を一度に受け取るのに対し、収入保障保険は小分けにしてまるで会社員の給料のように毎月(もしくは毎年)受け取るタイプの保険です。
掛け捨て型生命保険のメリット・デメリット
[メリット]
貯蓄性のある保険と比べると、圧倒的に保険料が安いです。例えば、30歳男性が1000万円の保険に加入する場合の保険料の目安は、終身保険が月払で約13,000円(終身払い)であるのに対し、定期保険は月払で約1,300円程度で済み、10倍も安くなっています。
[デメリット]
1番目のデメリットは保険満了後は保障がないこと。「期間」が「定まった」保険ですから、その「期間」が終われば、それ以降保障がないのが定期保険や収入保障保険です。例えば、30歳で妻と3歳の子供がいて、もし10年で保険が終わってしまえば、仮に45歳の時に万が一のことがあっても、保険金はおりません。
従って、定期保険や収入保障保険に加入する場合は、その保障が「いつまで必要なのか」を十分に検討する必要があります。
2番目のデメリットは更新型は保険料が上がること。更新型は、保険期間が終わっても更新することで保障が継続するのはメリットですが、大きなデメリットとして保険料が上がることが挙げられます。
30歳時に10年満了の定期保険1000万円に加入したとすると、30歳時は約1,300円、40歳時には約2,400円、50歳時に更新すると約5,300円、60歳時に更新すると約11,700円というように、加速度的に上がっていきます。
保険料が上がるのを避けるには、全期型への加入を検討するか、更新型に加入する場合でも、更新時にそのまま更新するのではなく、保険金額を少し下げるといった見直しが必要です。
3番目のデメリットは満期保険金や解約返戻金がないこと。掛け捨て型生命保険は、貯蓄性を捨てることで「安く保障を買う」ことに特化した保険です。掛け捨て型生命保険の保険料は、「経済的リスクをカバーするために必要なコストだ」と割り切って加入することが必要です。
掛け捨て型生命保険に賢く加入する方法
掛け捨て型生命保険を上手に利用する方法について、ご紹介したいと思います。
〇必要な保障金額・期間を決める
このステップを踏まないことには、何も始まりません。自分の身体のサイズを知らずに洋服を買うようなものです。まず、保障額がいくら必要なのかを計算すること、そしてその金額がいつまで必要なのかを検討することがポイントです。
例えば、自分に万が一あっても子供が大学を卒業できるように資金を確保しておきたいということであれば、子供が大学卒業までの学費を合計したものが、必要な保障額となります。そして、その金額は子供が大学卒業するまで必要ですから、今かりに子供が2歳であれば、22歳マイナス2歳で20年間の保障が必要だということがわかります。
〇通販で加入する
掛け捨て型生命保険は、大変シンプルな保険です。特約がいろいろ組み合わさった医療保険などと違って、単純に「万が一あったら保険金額が支払われます」というだけで、難しいことは一切ありません。加入に当たって説明を受けたり相談したりする必要がありません。
そのため、同じ条件の保険でも保険料が一番安い通信販売(インターネットも含む)で加入することをおすすめします。一般的な保険会社の営業職員を通して加入するのとは、保険料が2倍違うこともあります。
まとめ
掛け捨て型生命保険の最大のメリットは、保険料が圧倒的に安いことです。従って、収入があまりない若年や定年を過ぎてリタイアした60歳以降の方が、安く保障を確保するには最も向いています。
まずは、「いくら」「いつまで」保障が必要なのかを考え、それに合った保険を選びましょう。
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