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GDP(国内総生産)とは何か?分かりやすく解説します

 

 GDPの正式名称はGross Domestic Productです。

●Grossは「全ての・総計の」
●Domesticは「国内の・家庭内の」
●Productは「生産物」を意味します。

 GDPを日本語に訳すと「国内で作られた生産物の金額を合計したもの」、つまり「国内総生産」となります。

 ではこれからGDP(国内総生産)について、できるだけ分かりやすく解説しますが、難しいと思われた場合には大体のイメージだけは掴んでください。

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統計を取る対象は?

 日本国内のGDPの総計の対象は「日本の領土」となります。当然、「国内の」ですので、海外で作られた生産物の金額は含みません。日本企業が海外で生産した生産物であっても、それは同じです。

 生産物(Product)とは専門用語(主に国民経済計算で使用)で「財貨・サービス」と呼びます。財貨・サービスを、かみ砕いて説明すると、財貨とは人間のニーズを満たすことが目的の物質(商品)であり、サービスとは物質(商品)を生産する過程以外での労働量を言います。

 GDP(国内総生産)は、この財貨・サービスを個数や量ではなく、金額という共通した単位で合計した統計データです。

GDPは日本という領土が生みだした「もうけ」

 GDP(国内総生産)は日本が1年間に生みだした付加価値の総計です。付加価値とは最終生産物のことです。では最終生産物とはどういう意味なのかを説明しましょう。

 パンや自動車を商品(最終生産物)として作る時、まず、原材料を調達(購入)しますよね。その原材料を作る人たちが第一次産業に属します。パンなら小麦粉、自動車なら鉄鋼などです。次に製品や商品にします。

 次にパンなら原材料でパンをこね焼きます。自動車なら工場で原材料を加工し部品にして、それらを組み立てていきます。この仕事の産業分類は第二次産業となります。そして、最後にお店で販売されますが、それらが第三次産業に分類されるのです。ちなみに、第三次産業はサービス業全般をさし、塾の講師やレストランのウエイター・ウエイトレスも第三次産業に入ります。

 この原材料が商品となり、最初(原材料)と最後(最終生産物)の価格が異なりますが、この差額が「付加価値」となります。製品にするまでにはアイディアをだし、デザインを考え、手間をかけて原材料を原材料の値段より高い物にして売るわけです。まさに付加価値という言葉がぴったりですよね。繰り返しますが、この付加価値の総計がGDPです。

二重に計上を防ぐための考え方

 GDP(国内総生産)は「最終生産物」の総計だと言いましたが、これに対する言葉が「中間財」と呼ばれるものです。中間財は原材料などを指します。ここで大事なのは「中間財」をGDPに入れてしまうと二重計上になってしまうことです。考えてみれば分かりますが最終生産物の中には中間財の価値も含まれていますので、「最終生産物+中間財」としてしまうと、中間財の分だけ金額が大きくなってしまって正しく総計が出せません。

 もっと詳しく例を挙げて説明しましょう。

 もし、パン屋さんがお客さんに売るために原材料を加工して、利益がでるように値段を付けて販売するとします。小麦粉330円とイースト菌270円を足して、そこに付加価値を上乗せした、その金額が販売金額です。

 330円の小麦粉と270円のイースト菌から100円のパンを10個作り1000円で販売したとしたら、最終生産物の数字は1000円です。しかし、ここで、ある業者さんがパン屋さんに卸した小麦粉とイースト菌を、GDPの統計に加えてしまったとしたら、ここでのGDPは1600円になってしまいます。当然、売り値は原材料費用も含めて考えているので、売り値には既に原材料費用が含まれているのです。

 ですので、ここではパン屋さんのパンの販売価格である1000円が最終生産物として統計資料に使用されるのが正解です。もう一度思い出してください。GDPとは最終生産物の総計です。

GDPの内訳

 GDP(国内総生産)の内訳は、家計消費・設備投資と在庫投資・政府支出・輸出入の差額(純輸出)、で出来ています。家計消費は個人や家庭での消費を指し、設備投資と在庫投資は企業の投資、政府支出は公共投資を指し示します。輸出入の差額としているのはGDPは国内で生産された最終生産物ですので、外国で作られた製品が含まれていては困るからです。

 つまり、国内で生産された最終生産物の合計(GDP)は、家計消費=家庭、設備投資と在庫投資=企業、政府支出=政府、輸出入の差額=外国の人や企業が、日本で作られた最終生産物を買った総額ということになります。

GDP=家計消費+設備投資+在庫投資+政府支出+純輸出

 ではGDP(国内総生産)は誰が作った統計指標なのでしょうか。それは国際連合(United Nations)が国民経済計算(SNA)という作成のルールを決めて1964年に発表したものです。それに基づき各国が統計をとり毎年公表しているのです。時代の変化にともない何度か見直しをして近年では「2008年SNA」を発表しています。取り入れるか入れないかは各国の判断に任されています。

 各国のGDPは当然その国の政府が行うので、正確かどうかは分かりません。中国のGDPは7%くらいあると毎年発表されていますが、実際は2%くらいしかないと言われています。

[参考記事]
「日本が財政破綻するっていう説は本当?全て嘘です。」

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