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不動産投資の実際。業者が示す利回りに騙されないように

 

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はじめに

 ここ数年、アパート・マンション経営などの不動産投資の広告がインターネットやテレビでも賑わっていますし、頭金がなくても不動産投資が出来ると謳っている業者の方々もいらっしゃいます。

 実際に不動産の管理と運営を仕事としている面から見て、不動産投資の実際を書かせていただこうと思います。お付き合いいただければ幸いです。

不動産投資の利回りと経費

 ネットでも、「マンション投資」と検索すれば物件を紹介するサイトが数多くあり、物件の販売価格や想定される利回りが表記されていますが、そこに実際に必要な経費を鑑みますと、眉をしかめてしまうことが多々あります。

 まず経費と言いましても漠然としておりますので、簡単なモノを挙げます。

・固定資産税

・修繕費

・修繕のための積立の金

・購入する際の借入金元金の返済

・購入する際の借入金利子の支払い

・(取り壊す際の費用)

などなどです。

 仮に1,000万円の物件で年10%の収益が上がる物件を例に挙げてみていきます。

 まず、かかる経費として、固定資産税が物件の固定資産税評価額に対して年に1.4%があります。固定資産税評価額は大体は相場の0.7倍となっており、1千万円の物件の場合ですと、

10,000,000×0.7×0.014≒98,000(年額)

98,000÷12=8166.666…(月割)

 月割にしますとおおよそ8,100円ほどがかかります。

 次に修繕や修繕のための積立のお金を考えます。不動産でも投資用に売り出される物件は建築後20年ほど経ったモノが多いので、物件としてもリノベーションや修繕が必要とされる場合があります。

 もし掛からないとしても今後の修繕の為に積み立てを行っておく必要があります。住宅保険などに入っていたとしても、日常使うことによる摩耗や損耗の場合は修繕の為の保険金は下りないことが多く、実際に目安としては物件購入価格の0.5%ほどを見積もっておくのが適切です。

10,000,000×0.005=50,000(年額)

50,000÷12=4166.666(月割)

 おおよそ4,100円ほどまた積み立てておきたいお金がかかります。

 また、物件の購入に関して借入を起こしますと、その借入金について元金と利子の支払いが必要となってきます。仮に1千万円を全て借入で資金を用立てて元金及び利子の支払いを35年で返済していきますと月々の返済額は資本回数係数という数式を使って計算しますと以下のようになります。

 借入金1,000万円に対して年利3%、35年での返済の場合

総返済額:約1,600万円

年返済額:約  46万円

月返済額・約  3.8万円

 毎月、約3.8万円の返済が必要となります。

 他にも各種の税金・印紙代・保険料・取壊しなどの物件の処分を加味する必要がありますが、それらを考えない場合でも実際の利回りは以下のようになります。

想定賃料 1000万円×10%÷12か月≒ 83,000円

経費   

固定資産税 8,100円

修繕積立  4,100円

返済金額  38,000円

実際の利益(月割)   約32,800円

実際の利回り(月割)  約3.94%

となります。

 実際に10%と謳っていたとしても、各種の経費を鑑みますと、利回りというのは表面上と異なった側面を持ちます。無論、頭金の有無やどれだけ住まわれる方に気を配られるかによりますが。

不動産は生き物

 また、土地は別として建物に関しましては、劣化や疲労などもありケアが欠かせません。建物に関しましても10年に一度は外壁の防水塗装、貯水槽の検査、日々の汚れ、エレベータの検査、警備などを日々気を配っておかなければなりません。

 雨風でもダメージは受けますし、ゴミの投棄や住民とのトラブルなどもあります。住まわれる方の賃料の入金確認や未納の場合は督促せざるを得ません。

 また、建物は償却資産ですので年々価値が減っていきますから、収益が上がってお金を手に入れて要らなくなって売るにしてもどんどんと市場での売却代金は下がっていきます。

相続と不動産

 近年、お子様への相続の為に、資産を不動産化されているケースがあります。確かに相続の際、不動産は現金の0.8倍ほどの評価になり有利ではあるのですが、不動産そのものがお金と手間暇と気苦労をかけて始めて維持できる資産なので、お子様にその労力を果たせるかどうか、また、相続される方が複数人いた場合にはどの割合でその不動産を相続させるかなどの見極めが必要となってきます。

まとめ

 近年、不動産投資で左うちわで暮らすようになってみてはという営業や広告が多いですが、実際は気を遣いケアしていくことによって始めて価値と賃料が維持できるのです。

 不動産経営を一括借上げで業務委託することも可能ですが、その場合は更に費用がかかりますし、委託する業者が契約をこちらと更新しない、空室によりこちらが受け取る賃料が減るというケースもあり得ます。

 皆様が一所懸命に稼がれたお金や、皆様を愛された方々が残されたお金でありますので、私が申し上げるもの失礼かと思いますが、不動産投資を成される場合は、なにとぞキャッシュフロー表や収支計画などを充分にシミュレートされた上で健全経営を目指していただきたく思います。

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